トランスジェンダーを含むLGBTQ+差別に反対する映画監督有志の声明
映像・映画・演劇・芸能業界で働くLGBTQ+当事者への偏見、差別、ハラスメント事例集
※注意 以下、ハラスメント・差別の具体的な描写を含みます
(属性/職種)
(レズビアン / ディレクター)
レズビアンを主人公にした映像作品をディレクションした際にクローゼットのレズビアンである自分の当事者性、セクシュアリティについて執拗に詮索された。また円滑な人間関係を維持するために「日本人女性同士の恋愛描写は生々しくてきつい」などのホモフォビックな会話に耐える必要があった。
(レズビアン / ディレクター)
非異性愛を描いた作品の発表時、公衆の面前で作者自身が同性愛者か否かについて確認された。
(ゲイ / ディレクター)
自分が同性愛者だと思われるのが嫌だという理由でゲイを扱った映像作品の宣伝協力を出演者に断られた。
(ゲイ / ディレクター)
「LGBTQ監修」として現場に参加した際、撮影前にストレートの演出家から「自分は“分かっている”から大丈夫」と釘を刺され、十分な監修・サポートを行うことができなかった。
(バイセクシュアル / ディレクター)
公開トークの場で作品内容と関係なく唐突に同性の登壇者の中から好みのタイプを選ぶように司会者から求められた。
(バイセクシュアル / ディレクター)
カミングアウトせずに勤めていた映像制作会社で、上司が同性愛に対して「理解できない」「気持ち悪い」とたびたび発言することがあり仕事への意欲が落ちた。またその上司と同じ現場に入ることを恥ずかしく感じるようになった。
(FtM / ディレクター)
カミングアウト済みの雇用主主催の飲み会で初対面の人から性生活や性行為の方法について公衆の面前で子細に聞かれた。別のカミングアウト済みのスタッフからは「女性である」とミスジェンダリングを受け、さらに「女性であること」を理由として作品の内容を否定された。
(FtM / ディレクター)
セクシュアリティをオープンにして臨んだ監督作品の打ち合わせ中、大人数を前に身体の状況や手術の有無、トイレや性行為をどうしているかについて聞かれた。またカミングアウトせずにスタッフとして参加した現場で意に反してトランスジェンダーであるとアウティングされ、自分の知らないところで個人的な話が広がってしまった。
(FtM / ディレクター)
カミングアウトしていない男性スタッフばかりの打ち合わせで買春の経験談や女性蔑視の発言への同調を求められ、自分のSOGIを絶対に隠さなければいけないと萎縮した。
(FtM / ディレクター)
取材を受ける際にプライベートな経験やトラウマについてオープンに話すことが前提になっており、掲載された記事ではそれらが「ネタ」として消費されていて傷ついた。また異性愛者である前提で取材され、パンセクシュアルであることを話すと「ややこしいので割愛で」と言われ透明化されてしまった。
(FtM / ディレクター)
スタッフとして参加した現場で出演者のトランスジェンダー女性に対して「彼」「彼ら」などの呼称を用いたり、女性用インナーが用意されていないなどのミスジェンダリングを目撃。さらにそれらを注意する際のストレスで疲弊し本来の業務に集中できなかった。
(FtM / 声優)
トランスジェンダー男性で普段から男性として生活していることを明かして声優事務所の面接に臨んだ際、どちらの性別のトイレを使用するのか、更衣室はどうするのか、顔出し案件で女性的な服装を求められた場合に着ることはできるのか、といった技能や実績とは関係のない話題ばかりを聞かれた。また所属した際に戸籍の性別に沿うなら女性声優のカテゴリーとなり、プロフィール画像も女性に見える格好をする必要があるとミスジェンダリングされた。このことがトラウマとなり、以降は面接を受ける意欲が低下した。
(MtF / モデル)
業務内容とは関係ないにもかかわらず、撮影現場で大勢のスタッフ、出演者もいる中で性別適合手術を受けたか否か、身体の状態について他スタッフから聞かれたことが複数回ある。
(ノンバイナリー / タレント)
大手事務所の所属面接を受けた際、ノンバイナリーだとカミングアウト済であるにもかかわらず「可愛いから女の子でやっていける」「無理しなくていい」とアイデンティティを否定された。
(FtM / タレント)
出演交渉の際に「朝からLGBTの人を画面に出すと不快に思う視聴者がいる可能性がある」と言われ、他方では「世間的にはトランスジェンダーはもう当たり前。今さら使っても新しさが無い」といずれも属性を理由として出演を断られた。
(MtF / 俳優)
芸能事務所に所属し男性俳優として映画出演などキャリアを重ねてきたが、MtFとカミングアウトし女性として同事務所に所属したとたんに仕事が全く来なくなった(干された)。
(MtF / 俳優)
所属先の芸能事務所を決める際に採用担当者、面接官がトランスジェンダー女性に対して間違った偏見を持っていたため書類審査で落とされかけた。
(FtM / 俳優)
男性俳優として活動したかったが、業界関係者に相談したところ「男が女に成り下がるのは面白いが、女が男に成り上がっているのは面白くない」と言われ、裏方になる方向に考えを変えた。
(FtM / 俳優)
トランス男性であることを明かして参加したドラマのオーディションで「LGBTが現場にいると(宿泊や入浴の対応が)面倒くさい。どう対応してよいか分からない」という理由で採用されなかった。またセクシュアリティをアナウンスせずに参加した映画や演劇の現場ではたびたび共演者から性別をジャッジされた。
(FtM / 俳優)
男性として日常生活をおくるトランスジェンダーだが、トランスジェンダー男性役のオーディションを受けた際「男っぽすぎてネタバレになる」と不採用になった。
(ノンバイナリー / 俳優)
募集される役のほとんどが「男女」に規定されており、次第にオーディションやワークショップを受けに行かなくなった。また、稽古場などでSOGIをカミングアウトし、性別を表す代名詞を取り違えないで欲しい、ミスジェンダリングは止めて欲しいと要望しても「どうしてよいか分からない」と相手にされなかった。逆に専門家ではないにもかかわらず性的マイノリティへの具体的な対応策を提示することを求められたり、自分とは何ら関係のないその人の知り合いの性的マイノリティの愚痴や相談を聞かされるなどして本来の業務に集中できなかった。
(ノンバイナリー / 俳優)
自身の演じる女性口調で話すキャラクターのセクシュアリティを劇作家に確認したところ「そういうものは無い」と作家や共演者に笑われ萎縮した。公演作品の台本について男性同士の恋愛を提案したところ「子どもも見る」「一般向けでは無い」という理由で除外され疎外感を覚えた。
(ノンバイナリー / 俳優)
ワークショップで役の選択肢を「男性か女性」に限定されたうえで男女ペアで過激な即興芝居を強いられ恐怖を感じた。オーディションで今までに経験した性体験など、作品とは関係ないことの暴露を強制され断れなかった。また出演した舞台で、十分な説明のないまま上裸になりブラジャーをつけるという演出を付けられ恥ずかしかったが、俳優としてその感情を隠さなければいけないと考え言えなかった。
(ゲイ / 俳優)
性的マイノリティをテーマにした作品を制作したことのある監督のワークショップに参加した際、ゲイを揶揄する発言があり落胆した。別作品の撮影では「オカマちゃんな感じで」と演出指示を受け屈辱的な気持ちになった。
(ゲイ / 俳優)
セクシュアリティを明かさず俳優として活動するなかで、打ち上げで共演者から唐突に「綺麗なゲイはいいが汚いゲイは許せない」と言われ、動揺したが何も言えなかった。
(ゲイ / 俳優)
カミングアウト前に同業者から「(カミングアウトすると)役が狭まる」「ファンが悲しむ」などと言われた。セクシュアリティをカミングアウトして履歴書に書いたとたん、これまで通っていた広告系案件の書類審査に全く通らなくなった。
(ゲイ / 俳優)
セクシュアリティを隠して俳優活動を行っているがマネージャーから「異性愛の成人映画に出演するのは良いがゲイ映画はNG」と言われた。また現場中に演出家から「ゲイ役、オカマ役が似合いそう」「自分の姿を鏡で見ながら自慰行為をしていそう」などの言葉を浴び、ゲイであることを知られたら仕事を失うという恐怖感を持つようになった。
※声明への賛同のお声掛けをできなかった映画監督の皆さま失礼いたしました。今からでも当声明にご賛同いただける映画監督の方は下記メールよりご連絡をお願いいたします。
(期限:2024年12月31日)
<連絡先>
LGBTQ+差別に反対する映画監督有志の声明掲出プロジェクト
statementlgbtq@gmail.com
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